引き続きセンターを解いていきます。
今回はⅡB第3問です。
問題はこちら
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思考過程
等比数列の関する計算です.
初項と公比が具体的な数として与えられており,最初の3項しか計算に関与しないのでまずはこの3項を求めてしまいましょう.
初項 ,公比 ですから
よって
これで (1) はおしまいです.
ポイント
すぐに等比数列の一般項を作りたがる人がいますがこの問題では控えるべきです.
解答に必要な分だけ計算するようにしましょう.
(2) 思考過程
今度は初項・公比が文字で与えられています.
また,a,bという新たな文字も出てきました.
ただ相変わらず最初の 3 項しか計算に関与していないのでまずはこの 3 項を求めます.
初項 ,公比 ですから
・・・①より
よって
・・・③
このとき, とすると になり に反しますから
です.
また
・・・②
③より
これを②に代入して整理すると
・・・④
④は についての2次方程式ですから,④を満たす が存在するとは④が の実数解をもつことです.
2次方程式が実数解をもつ⇔判別式≧0
より「④の判別式≧0」として
・・・⑤
これで(2)はおしまいです.
(2) ポイント
・ の存在条件が2次方程式の判別式から求められることは大丈夫ですか?
「ある文字の存在条件はその文字について解くことで求める」ことができます.
の2次方程式を解くとことになるので の存在条件が判別式に帰着することになるのです.
基礎力が足りていない人は「」の理解が不十分です.
「」の考えは数学のいたるところで顔を出しますから必ず理解するようにしてください.
(3) 思考過程
が具体的な数のもとで数列 を決定する問題です.
のとき
③より ですから
・・・③’
④より ですから
より
を③’に代入して
これで数列 の初項と公比が求まりましたから一般項が出せます.
となります
数列 は
ですから, より
数列 の初項から第 項までの和 ,さらに をかけた を具体的に表してみると
をつくると
は初項 ,公比 ,項数 の等比数列の和となっているから
これで (3) はおしまいです.
(3) ポイント
・「 を計算すると等比数列の和が現れる」(★)ことに気付くかが最大のポイントです.
この計算の指示を見た瞬間に「等比数列の和に関係する式が出てくるのではないか」と思い浮かばないと基礎力が足りません.
というのも,この計算方法は等比数列の和の導出方法だからです.
数列 は で(等差数列)×(等比数列)の形をしています.
一応,確認しますと
は初項 ,公差 の等差数列です.
初項 ,公差 の等差数列の一般項は
でしたよね.
項数を表す変数 の 1 次式の係数が公差となります.
逆に言えば変数 の 1 次式を見たら等差数列であることおよびその公差を読み取れなければいけません.
が公比 の等比数列となるのは問題ないでしょう.
定数のべき乗の指数が( の 1 次式)となっているものが等比数列です.
このように(等差数列)×(等比数列)の形をした数列の和を求めるとき,この数列に公比をかけると元の数列とべき乗の指数が ずつずれた数列が得られます.
思考過程の の式をタテに見てください.
べき乗の指数を同じくする項を引くと係数が等しいべき乗の項が得られるのがわかります.
これはべき乗の係数が公差になるからです.
わかりにくければ一般化して
となることを確認してください.
べき乗の指数が同じ項の差をとるとき,等差数列の部分は 1 項分ズレています.
等差数列 1 項分のズレとはすなわち公差のことです.
係数が等しいべき乗の項はその係数でくくることができます
そのくくられた中身は指数が 1 つずつズレたべき乗の和となり等比数列の和の公式を使って求めることができます
あとは計算を実行すれば(等差数列)×(等比数列)型の数列の和を求めることができます
最後に
(1) はただの計算問題です ササっと解いてください.
(2) は文字が導入されていますが使う条件式を問題が指示してくれているのでどの条件式を使うかで迷うことはないでしょう.
(3) は(等差数列)×(等比数列)型の数列の和を求めることになります.
問題文では計算方法が指示されているので等比数列の和が現れることに容易に気付ける仕様になっています
全体的に恐ろしく誘導が丁寧な問題です.
方針で迷うことはないでしょう.
ただ (3) の計算方法の指示までいくともはや誘導ではなく解答を教えているのに等しいです.
(等差数列)×(等比数列)型の数列の和を求める問題は受験で頻出ですが2次試験ではもちろんノーヒントで出題されます.
この問題の考えを利用して自力で(等差数列)×(等比数列)型の数列の和を求めることができるようにしてください.